順調に行く者が
必ずしも幸せではないのだ
悲しむな
立ちあがるのだ
タンポポを見よ
踏まれても平気で
花を咲かせているではないか
真民さんは、ご自宅の堂を、「たんぽぽ堂」と名付けられ、その晩年まで詩作を続けられました。
「たんぽぽ堂」は、真民さんがこよなく愛された四国(詩国)、愛媛県砥部町にあります。
真民さんにとってタンポポは特別な、特別な植物です。
その佇まいに共感し、ご自分の人生とを重ね合わせていらしたのでしょう。
ところで、個人的な経験ですが、わたしは大学を卒業する年に、真民さんを訪ねて「たんぽぽ堂」まで伺ったことがあります。
東京から鈍行列車を乗り継ぎでの旅でした。
当時、大学を卒業して一般的な就職をするか、合格通知をいただいていた青年海外協力隊に参加するか、それとも、当時復興を果たした薩摩切子の職人の世界に飛び込むか、悩んでいたのです。
そこで、高校時代に濱里忠宜先生を通して知り、その後の精神的な支えの一つになっていた真民さんの詩に、また真民さんに直接お会いしたい、という衝動に駆られ、とにかく青春18切符を握りしめ「たんぽぽ堂」に向かったのです。
真民さんは、見ず知らずの学生を「たんぽぽ堂」に招き入れてくださり、終始、微笑みながらわたしの拙い話を聞いてくださいました。
タンポポの優しさに包まれているような不思議な感覚に包まれた時間でした。
そして、真民さんのところを後にして、真っすぐ故郷の鹿児島に戻り、濱里先生に報告に行き、最終的に、アフリカに赴任することに決めました。
その後、タンポポの種が風に吹かれるままフワフワと空を自由に飛び、新しい土地でしっかりと根付いて花を咲かせていくように、自分の人生もそうありたいと願ってきたように思います。
だから、「立ち上がるのだ タンポポを見よ」というところにいつも勇気づけられてきました。
長く寒かった冬も、もうしばらくで終わり。
もうすぐ春です。タンポポの季節です。
タンポポに励まされながら、一人一人が自らの花を精一杯咲かせていきましょう。
念ずれば花ひらく
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